傷ついたコーヒーの国エルサルバドルにハレルヤ!
2019年 06月 10日
今日は、雨の降りしきるいち日でした。
そんな二度目の休日は、クローズドのコーヒーカッピング会へ。
クローズドの会については、常に厳しく向き合っていますので、コメントも辛辣になりがち、普段ですと思うところも自分で飲み込み、余り語らないようにしているのですが、今回は特別な会となりました。
気候変動はもとより、政治的、経済的な事由もあって傷ついている産地は、あまたあります。
そもそも、気まぐれとも言える自然の営みに、たずさわる人々の思惑も絡み、農産物とは常に移ろうもの。
それは、コーヒーばかりでなく紅茶やカカオ、そしてワインにしても同じ。
今回カッピングしたエルサルバドルは、そんな傷ついた最たる産地のひとつです。
コーヒーが罹る最も恐ろしい病気のひとつ「さび病」で、エルサルバドルが容赦のない打撃を受けてから6年ほどが経ちました。
いまだから言えますが、つい去年までその痛手は癒えることなく、コンテストのコーヒーでさえ未熟味が混じり、評価に値しないものばかりというありさまに、ことの現実を呪ったものでした。
果たして、今年のコンテストはさまがわり。
コーヒーが中央アメリカへ、そしてエルサルバドルへ伝播されて以来、かの地の人々は、いにしえに伝搬された古樹そのままに、伝統的な製法を守りながら作り続けてきましたが、今回のリストにはこれまで見られなかった品種のコーヒーがズラリと並びます。
そのひとつケニアは、ケニアを世界最高の産地とならしめたスコットランドラボラトリーの改良品種、そしてパカマラは、エルインヘルトを世界最高の農園とならしめた、エルサルバドル生まれの改良品種です。
ひと目見て、かの地の人々が情熱を取り戻したことが、痛いほど伝わってきます。
胸の高鳴りを抑えながえら厳しくカッピングしても、あれだけ目立っていた未熟味がほぼ鳴りをひそめていました。
やれ嬉しい!
これであれば、かの地の人々が自信さえも取り戻せる日が遠からず訪れるでしょう。
いっときは、有数のコーヒーインポーターも匙を投げ出した産地、エルサルバドル。
その復活の兆しを垣間見ることができて、雨が降りしきる梅雨の会場を、心はればれと後にすることができました。
かつて私たちを屈託のない笑顔で迎えてくれたコーヒーの国、エルサルバドルの人々に、ハレルヤ!
by hibaricoffee | 2019-06-10 23:53